鉛筆と原稿用紙で紡がれた、感謝と愛の物語
阿刀田さんは、デビュー以来ずっと原稿用紙と鉛筆で物語を紡いできました。そのスタイルは変わることなく、今回も「自分の手」から生まれるアイデアを大切にされたそうです。
「”自分の手”そのものが、小説のアイデアを持っているような気がずっとしています。しかし老齢になり、いい考えがなかなか湧かなくなってしまった。それでも、〈自分の中で良い水準に達した小説を、読者の皆さんに届けたい〉という思いは変わりません。よし、最後の力を出し切って、ひと区切りつけよう――そう決めました。」と、穏やかな笑顔で語られています。
「最後」という言葉に少し寂しさを感じるかもしれませんが、阿刀田さんは「”終わり”というものが好きなので、”最後”ということにネガティブな気持ちはまったくありません。小説はもう書かないと思いますが、エッセイなどの執筆は、引き続き頑張っていきたいです」と、とても前向きなメッセージを寄せています。91年の創作人生の節目に、読者への感謝を込めて届けられるこの一冊は、きっと晴れやかな気持ちで手に取れることでしょう。
名手による珠玉のショートショート36篇
『掌より愛をこめて』には、1993年に雑誌掲載された作品から、90歳を迎えた昨年までに執筆された全36篇が収録されています。わずか数枚の原稿から立ち上がる鮮やかな物語と、意外性に満ちた結末は、まさに名手ならではの技巧と遊び心が凝縮されたもの。銀座の地下から漕ぎ出す舟、異文化が生む愛の落とし穴、窓から見えるもう一人の私、幼い昔へと走る電車など、アイデアとウィットと皮肉な筆致が光る掌篇の数々を、ぜひ楽しんでみてください。
『掌より愛を込めて』の詳細はこちらからご覧いただけます。
https://www.shinchosha.co.jp/book/334333/
前作『90歳、男のひとり暮らし』も大反響!
昨年9月に発売されたエッセイ集『90歳、男のひとり暮らし』は、現在8刷・3万7千部を突破する大反響を呼んでいます。

奥様が介護施設に入居されて以来、自宅で単身生活を送る阿刀田さん。「何事も”まあまあ”ならそれでいい」「老いてこそユーモア」をモットーに、前向きに日々を過ごすヒントが軽妙な筆致で綴られています。朝の身だしなみから料理、趣味、そして亡き人々への想いまで、90年積み重ねた知恵と経験が人生の豊かさを伝えてくれる、滋味豊かな一冊です。老いを受け止めながらも、毎日を機嫌よく過ごすコツは、きっと多くの人に「なるほど!」と共感を与え、背中を押してくれることでしょう。
『90歳、男のひとり暮らし』の詳細はこちらからご覧いただけます。
https://www.shinchosha.co.jp/book/603935/
著者紹介:阿刀田高(あとうだ・たかし)
1935年東京生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続けました。1978年に『冷蔵庫より愛をこめて』でデビューし、翌年には「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞を受賞。1995年には『新トロイア物語』で吉川英治文学賞を受賞するなど、数々の文学賞に輝いています。2003年には紫綬褒章、2009年には旭日中綬章を受章し、2018年には文化功労者に選出されるなど、その功績は多岐にわたります。
書籍情報

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タイトル: 掌より愛をこめて 阿刀田高さいごの小説集
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著者名: 阿刀田高
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発売日: 2026年5月27日(水)
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造本: 四六判・240ページ
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定価: 2,090円(税込)
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ISBN: 978-4-10-334333-2
阿刀田さんの作品は、人生のさまざまな局面で私たちにそっと寄り添い、ユーモアと知恵を与えてくれます。今回の最後の小説集も、きっと多くの読者の心に温かい光を灯してくれることでしょう。ぜひ、この特別な一冊を手に取って、阿刀田さんの紡ぎ出す物語の世界に触れてみてくださいね。





