昭和の未解決事件から見えてくる、人間の真実
この小説の舞台は、昭和54年1月に大阪市で発生した「三菱銀行立て籠もり事件」をモデルにしています。約30人もの人質をとり立て籠もった犯人・花川清史。翌日、警察は彼の母親を説得に当たらせようとしますが、母親は姿をくらまし、美容室で髪をセットしていたという衝撃的な事実が明かされます。そして、犯人自身も母親との会話を拒否。事件は悲しい結末を迎えますが、その背景には何があったのでしょうか?
新聞記者の近藤は、事件は解決しても、何一つ解明されていないと感じ、この事件の「真実」に迫る連載企画を立ち上げます。親と子、そして人間が織りなす複雑な感情の糸を解きほぐしていくような物語は、きっと私たち自身の家族や人生についても深く考えさせてくれるでしょう。
桜木紫乃さんが描く「親と子」の究極
『ホテルローヤル』や『家族じまい』など、これまでも親と子の関係、人間の本質を描き続けてきた桜木紫乃さん。今回の作品では、「最凶の銀行立て籠もり犯を駆り立てたのは、母か女か社会か、それとも彼自身だったのか」という究極の問いに挑みます。
著者の桜木紫乃さんは、この作品について「ラストにさしかかったあたりで、どんな賢者も犯罪者も等しく女から生まれる、という事実に突き当たりました。そこからは、ひとりの人間、ひとりの母として改めて己の来し方を振り返る時間となったように思います」とコメントされています。この言葉からも、作品に込められた深いメッセージと、作者自身の内面的な探求が感じられますね。
私たちも、この物語を通して、親と子の関係、そして人間という存在の奥深さに触れることができるはずです。
著者紹介

北海道生まれの桜木紫乃さんは、2002年に「雪虫」でオール読物新人賞を受賞して以来、数々の文学賞に輝いています。2013年には『ラブレス』で島清恋愛文学賞を、そして同年『ホテルローヤル』で直木賞を受賞。さらに2020年には『家族じまい』で中央公論文芸賞を受賞するなど、その作品は多くの読者を魅了し続けています。
書籍情報
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タイトル: 異常に非ず
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著者名: 桜木紫乃
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発売日: 4月22日(水)
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造本: 46判ハードカバー
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定価: 2,750円(税込)
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ISBN: 978-4-10-327727-9
この春、あなたの心に深く響く一冊を、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか?





