血で血を洗う復讐劇の元祖! 『タイタス・アンドロニカス』の知られざる魅力
本書には『タイタス・アンドロニカス』と『ファヴァシャムのアーデン』という、シェイクスピア作品の中でも異色とも言える二作品が収録されています。
まずは『タイタス・アンドロニカス』。これはローマ史劇で、血で血を洗う復讐劇の原型と言われています。世界中で大ヒットした海外ドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」にも影響を与えたと言われるほど、すごい作品なんです。
あらすじは、勇猛な将軍タイタスが捕虜としたゴート族の女王タモーラの王子を惨殺したことから、新皇帝が女王を娶り立場が逆転、女王による復讐が始まるというもの。
「こんなに過激でダークなのに、なぜか目が離せない面白さがあるんですって!」
「うわ~……!(戦慄)」となる内容なのに、読んでいると「これを楽しんでいいのだろうか」と罪悪感すらわいてくる、そんな悪魔的な面白さがあるようです。ページをめくる手が止まらなくなる、いわゆるページターナー! 若き日のシェイクスピアだからこそ書けた、情熱や荒々しさが感じられる作品かもしれませんね。

幻の作品『ファヴァシャムのアーデン』、ついに文庫化!
つぎに、『ファヴァシャムのアーデン』。この作品は、2016年に『新オックスフォード・シェイクスピア全集』に収められ、最も新しくシェイクスピア作品と認められました。
日本国内のシェイクスピア全集では未邦訳で、今回が初の文庫化、そして初のシェイクスピア作品としての翻訳という、まさに「幻の作品」なんです。
あらすじは、1551年のファヴァシャム市で、元市長アーデンが妻アリスの不倫を疑い、妻は恋人と共に夫の殺害を企むというもの。驚くことに、当時実際にあった殺人事件をモデルにした物語だそうですよ!
「シェイクスピアが実際の事件をモデルにした戯曲を!? しかも殺人事件??」と驚きますよね。この作品は、シェイクスピアが若き時代に他の複数の作家と共同執筆したと言われており、長年にわたって「本当にシェイクスピアの筆が入っているのか?」と議論の的になっていた「いわくつき」の作品でした。
しかし、コンピューターによる統計学的な計量文体分析などを経て、2016年に正典入りしたんです。この作品にシェイクスピアの筆が入っていると信じるに足る理由を、訳者の河合祥一郎先生が見事に論じています。あるドラマティックな展開について、シェイクスピアの名作『リチャード三世』と照らし合わせて共通点を語る解説は、きっと「これぞシェイクスピア・マジック!」と感動を呼び起こすでしょう。
吉田鋼太郎さんも推薦! 蜷川版「タイタス」の感動秘話も
俳優で演出家の吉田鋼太郎さんも、本作に推薦コメントを寄せています。

「祥ちゃん! 待ってました! 次のタイタスはこれでやってみたい!!」
実は、蜷川幸雄さんが演出された「タイタス・アンドロニカス」で、吉田さんはタイタスを演じました。その斬新かつ強烈な演出は、本拠地ストラットフォード・アポン・エイヴォンのロイヤル・シェイクスピア劇場でスタンディングオベーションの大絶賛を受けたそうです(2006年)。その時の感動的な体験について、訳者の河合先生が訳者あとがきで語っているそうですよ。そのお話もすごく面白いので、ぜひ本書でお楽しみください。
訳者・河合祥一郎先生からの贈り物
本書の訳者である河合祥一郎先生は、元日本シェイクスピア協会会長で、映画「ハムネット」の字幕監修も務めています。シェイクスピア研究の第一人者が、この二作を新しい視点で私たちに届けてくださいます。きっと、シェイクスピアの奥深さに改めて感動することでしょう。
書誌情報
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書名: 『新訳 タイタス・アンドロニカス/ファヴァシャムのアーデン』(角川文庫)
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著者: シェイクスピア
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訳: 河合祥一郎
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発売: 2026年3月23日(月)
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定価: 1,595円(本体1,450円+税)
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判型: 文庫判
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ページ数: 352ページ
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ISBN: 978-4-04-115366-6
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発行: 株式会社KADOKAWA
KADOKAWAオフィシャル書誌詳細ページ:https://www.kadokawa.co.jp/product/322405000587/
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