はじめに
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
お手すきの時に気楽にお付き合いを頂けたらと思います。
本物語について、ずんだもんの読み聞かせ動画をアップしていますので、是非、楽しんでいってください！
本編
運命の夜明け
エルドール王国は、闇に飲み込まれようとしていた。
暗黒の魔法が空を覆い、人々の希望を奪い去り、恐怖が街角の影から顔を覗かせていた。
だが、最も絶望的な夜にさえ、運命はその糸を紡ぐ。
古の予言者が声を上げた。
「呪われし血を引く者がエルドール王国に不幸をもたらそうとしている。そして灰から生まれし者がその運命を握る。」と。
その声は、嵐の中での稲妻のように、一瞬で王宮の最深部へと届いた。
マリアンナは、その夜、屋敷の豪華な部屋の窓から外を見ていた。
彼女の目は、星一つない空を見つめ、心は予言の言葉を巡らせていた。
彼女は呪われた血を引く者…自分自身を指していると知っていた。
その時、遠くで緊急の鐘が鳴り響く。
危機が迫っていた。
一方、町の外れの小さな家では、シンデレラが床にひざまずき、煤けた暖炉を掃除していた。
彼女の手は黒く染まり、顔には疲労がにじんでいた。
鐘の音に、彼女は窓を開け、風に乗ってくる予言の断片を耳にした。
「灰から…」彼女は呟いた。
その瞬間、暖炉の中から不思議な光が溢れ出し、シンデレラの周りを渦巻いた。
そして、輝く靴が現れた。
彼女の運命が、今、動き出そうとしていた。
屋敷では、マリアンナが秘密の書庫へと足を進める。
呪われし血の秘密を解き明かす鍵がそこにあると確信していた。
書物に埋もれた部屋で、彼女は古文書を手に取り、浮かび上がる古の文字を追い始めた。
ふたりは知らず知らずのうちに、暗黒を砕く冒険へと足を踏み入れていた。
運命の夜明けが、彼女たちを待ち受けている。
灰かぶりの姫と呪われし令嬢
夜が明け、シンデレラは暖炉の灰の中から見つけた輝く靴を手に、いつものように市場へ向かった。
人々は騒ぎ、予言の噂を耳にするたびに彼女の心は高鳴った。
しかし、彼女の運命が変わることを、まだ誰も知らない。
一方、マリアンナは屋敷の書庫を後にし、自らの力を試そうと決意していた。
彼女の血には禁断の魔法が流れており、それを制御することができれば、予言を覆すことも可能かもしれない。
彼女は秘密裏に禁じられた儀式を準備し始めた。
シンデレラが市場の喧騒を抜けると、ふと、不審な影が彼女をつけているのに気がついた。
街の暗がりから、何者かが彼女の行く手を阻もうとしていた。
彼女は心を強く持ち、追跡者を巧みにかわしながら、知らぬ間にマリアンナの屋敷へと足を踏み入れてしまう。
マリアンナは儀式の準備を終え、古代の言葉を唱え始めた時、予期せぬ訪問者の気配に気づいた。
彼女の部屋の扉が開き、汚れた服を着たシンデレラがそこに立っていた。
二人の目が交わり、言葉がなくとも何かが始まる予感に包まれた。
「何故ここに？」マリアンナの声が部屋に響いた。
「逃げていたら、ここに…」シンデレラは靴を握りしめながら答えた。
靴から漏れる光が、マリアンナの魔法の輪に反応し、部屋は強烈な光に満たされた。
その瞬間、マリアンナはシンデレラがただの灰かぶりではないこと、そして彼女が予言に縛られた命運を共有する者であることを悟った。
魔法の光が消えた後、マリアンナが呪われし血を引く者と直観したシンデレラはマリアンナの部屋から逃げ出していた。
隠された真実と魔法の靴
部屋に取り残されたマリアンナは自身の力を試すべく、屋敷の最も暗い地下室に足を踏み入れていた。
彼女の周りには古の魔法陣が描かれ、その中心に立つ彼女の姿は、決意に満ち溢れていた。
呪文を唱え、手を振るうごとに、室内には不気味な光が増幅していった。
マリアンナが古びた魔法陣の力を引き出すと、エルドール王国中の魔法が反応し始めた。
街は急に暗くなり、風が吹き荒れ、市民たちの間には不安が広がった。
マリアンナは恐れを知らず、その力をさらに引き出そうとする。
マリアンナは魔法陣の中で目を閉じ、力の源に触れようと試みる。
突然、彼女の意識は遠い昔へと引き込まれた。
その記憶の中で、マリアンナはかつて魔女がエルドール王国を救ったという重大な真実を目の当たりにする。
一方、マリアンナの屋敷から逃げ出したシンデレラは、不思議な力を持つ靴を手に、その秘密を解き明かすべく図書館の古文書を調べ始めた。
彼女の前に広がるのは、古びた皮革の表紙と黄ばんだページ、消えかけたインクで記された秘密の言葉だった。
シンデレラは古文書を紐解くにつれ、かつて魔女が魔王を倒しエルドール王国に平和をもたらしたことを知る。
そして、魔女の力を恐れた王国が魔女を迫害していたことも…
その瞬間、図書館の扉が激しく叩かれ、魔法の乱れを感じた宮廷魔術師のサーレスが彼女を探しに来たのだ。
サーレスに迫られたシンデレラは、邪悪な気配を察し咄嗟に図書館からの脱出を図る。
そして、再びマリアンナの屋敷を目指す。
彼女はマリアンナが鍵となると直感した。
風が冷たく彼女の頬を打ち、運命が二人を再び引き合わせるのを感じながら、シンデレラは真実を求めて駆け続けた。
運命の交差点
靴の謎を追い求めるシンデレラと、自らの運命に苦悩するマリアンナ。
二人の道は、ある冷たい夜に交差した。
シンデレラはマリアンナの屋敷を訪れる。
マリアンナは当初、シンデレラを疑うが、彼女の真摯な眼差しと、共通の敵に直面する決意に心を動かされる。
彼女たちは協力することを決意し、エルドール王国の未来を救うための計画を練り始める。
そして、マリアンナは自らの魔法の知識を使い、靴の力を解析しようと試みる。
夜が更けるにつれ、二人は靴が伝説の魔女によって作らた魔法の靴でエルドール王国を守るための力を秘めていることを発見する。
しかし、その力を解放するには「禁断の森」での試練をのりこえる必要であることも明らかになる。
一方、エルドール王国内では暗躍する敵が動き出していた。
靴の力を狙い、二人に危害を加えようと陰謀を企てている。
シンデレラとマリアンナは、これらの動きに気付き、対策を講じる。
深夜、マリアンナの屋敷に不審な影が忍び寄る。
警戒する二人は、敵の罠をかいくぐり、屋敷を脱出する。
追手を振り切り、彼女たちは翌日に城で行われる舞踏会への参加を決意する。
舞踏会はエルドール王国の重要人物が集まる場所であり、靴の秘密を知る者がいるかもしれないと考えたのだ。
さらに、その場でエルドール王国の現状を知り、彼女たちが直面する危機の全貌を掴むことができる。
夜明け前、シンデレラとマリアンナは互いの強さを認め合い、これからの困難に立ち向かう決意を固める。
彼女たちの運命が交差し、新たな絆が生まれた瞬間だった。
そして、運命の舞踏会が彼女たちを待っている。
転落の舞踏会と逆転の鍵
城に集う人々のざわめきが夜空を突き破る。
煌びやかな舞踏会が始まり、エルドール王国の華やかさを世に示していた。
しかし、その輝きの裏で、シンデレラとマリアンナはエルドール王国の命運を左右する秘密を抱え、心の準備を整えていた。
シンデレラは、魔法の靴を隠し持ちながら、華麗なドレスに身を包み、一介の貴族の娘として舞踏会に姿を現す。
彼女の美しさは、すぐさま全ての目を惹きつけた。
しかし、彼女の真の目的は、誰が靴の秘密を知っているかを確かめることにあった。
マリアンナもまた、秘密を胸に会場に現れる。
彼女の目は、シンデレラを捉えていた。
マリアンナは自らの魔法の力を隠しながら、会場を静かに移動し、シンデレラの様子をうかがっていた。
ダンスが始まり、シンデレラはセリオス王子と踊り始める。
彼女の動きは優雅で、セリオス王子はすぐに彼女に魅了される。
だがその時、突如会場の照明が落ち、歓声が叫びに変わる。
一瞬の暗闇の中で、シンデレラの一足の靴が行方不明になる。
マリアンナはこの混乱を予感していた。
彼女は魔法を使い、会場で静かにシンデレラを守る。
そして、靴を持ち去った犯人を探し始める。
暗闇が晴れ、会場は再び光に満ちた。
だが、靴の失踪により会場は混乱に陥る。
シンデレラは、もう一足の靴がエルドール王国を救う鍵であることをセリオス王子に告げる。
マリアンナは犯人を見つけ出し、逃げる犯人を追いかける。
彼女はその人物がサーレスで敵の首謀者であることを確認する。
そして、激しい魔法戦の末に靴を取り戻すが、サーレスを取り逃がしてしまう。
その後の調査でサーレスが呪われし血を引く者であることが判明する。
シンデレラとマリアンナは、セリオス王子の協力を得て、靴の力とエルドール王国の危機に立ち向かう決意を固める。
舞踏会は混乱の中、終わりを告げるが、彼女たちの冒険は、まだ始まったばかりだった。
選ばれし者の試練
夜明けを待ちシンデレラとマリアンナはエルドール王国の周辺に広がる「禁断の森」の奥深くへと足を踏み入れた。
森は暗く、何世紀もの間、無数の秘密を隠してきた。
木々はささやき、風は警告するように二人を包んだ。
彼女たちは、靴の力を解き放つ鍵を求めていた。
マリアンナの魔法の指輪が光を放ち、道を照らす。
彼女たちは囁かれる伝説の地、魔法の泉を目指していた。
泉の水は、真実の力を持つ者のみが靴の魔法を完全に解放できると言われていた。
森の中でシンデレラとマリアンナは、予期せぬ試練に直面する。
森の守護者たちが現れ、彼女たちの勇気と心の純粋さを試す。
幾多の試練が二人を待ち受け、それぞれの試練は彼女たちの絆をより一層強固なものにしていった。
最深部に辿り着いた時、彼女たちは神秘的な光に満ちた泉を発見する。
その水面は星々を映し出し、二人は靴を泉に浸す。
しかし、それは最後の試練の始まりだった。
泉から生まれた魔法の生物が二人に襲いかかり、シンデレラとマリアンナはエルドール王国の平和を取り戻すために戦う。
マリアンナは魔法を駆使し、シンデレラは靴をはいてその力を試す。
戦いは激しく、二人はすべてを出し切り、魔法の生物は消滅する。
試練を乗り越え、靴の真の力が解放された。
シンデレラとマリアンナはエルドール王国に戻る準備をする。
しかし、彼女たちが戻るエルドール王国ではサーレスが不穏な動きをみせていた。
真実の愛と勇気
靴の真の力が解放され、シンデレラとマリアンナはエルドール王国に向けて急ぎ足に進んだ。
彼らを待つのは、サーレスの暗黒の力が影を落とす城と、その中で苦しむ人々だった。
空は黒雲に覆われ、エルドール王国の上空には不吉な魔法の渦が渦巻いていた。
そして、サーレスが率いるエルドール王国内の反乱軍が靴の力を狙い、城を取り囲んでいたのだ。
シンデレラとマリアンナが秘密の通路を通り城内に到着した時、反乱軍の攻撃が始まった。
矢が雨のように降り注ぎ、城壁が揺らぐ。 シンデレラは靴の力で反撃を試みる。
マリアンナは自らの魔法を振るい、反乱軍を押し返す。
しかし、そのたびに彼女の力は弱まり、彼女の体は限界に近づいていた。
戦いの最中、セリオス王子がシンデレラの元に駆けつける。
彼は彼女の安全を最優先に考え、自らの身を盾にする。
その瞬間、シンデレラの心に愛が溢れ、靴の力は新たな形で解放される。
マリアンナは自分の運命を受け入れ、最後の力を振り絞り、城と人々を守るための大魔法を発動する。
その光はサーレスの暗黒の力を打ち消し、サーレスとその反乱軍を消滅させる。
しかし、その魔法の代償は大きく、マリアンナは声を失った。
戦いが終わり、静寂がエルドール王国を包む。
セリオス王子とシンデレラは互いの愛を確かめ合い、マリアンナは呪われし血を引く者から真の英雄へと変貌を遂げた。
新たなる幕開けと永遠の約束
エルドール王国の夜明けは、静かで穏やかなものだった。
戦いの痕跡はまだ土に残っていたが、空は久しぶりに青く澄んでいた。
シンデレラとマリアンナ、そしてセリオス王子は城壁の上に立ち、新しい時代の始まりを告げる朝日を見守っていた。
マリアンナは弱々しく、しかし確かな笑みを浮かべていた。
そして、シンデレラはセリオス王子の隣に立ち、彼の手を握る。
彼女の愛と靴の力がもたらした奇跡によって、二人は結ばれた。
その後…
マリアンナはエルドール王国にとどまることを選ばず、エルドール王国を旅立つと決めていた。
彼女はもっと広い世界を見て、自らの力で生きていくことを望んでいた。
シンデレラはマリアンナの決意を尊重し、一つの約束をする。
「どこにいても、マリアンナのことを忘れない。そして、いつかまた、この城に迎え入れる日を心待ちにしている。」と。
涙を浮かべながら、マリアンナは頷いた。
マリアンナはシンデレラに向かって、声の代わりに書かれた手紙を手渡す。
その中には、「あなたの勇気が私を変えた。いつかまた会える日まで」と記されていた。
シンデレラはマリアンナを抱きしめ、二人の友情は言葉を超えたものとなった。
城門が開き、マリアンナは一人の旅立ちを迎える。
セリオス王子とシンデレラは城壁に立ち、彼女の姿が地平線に溶けるまで見送った。
新しい時代の幕が開け、エルドール王国は再び繁栄を取り戻す。
そして、マリアンナの冒険譚は、伝説として語り継がれていくことになる。
彼女が残した足跡は、後の世に勇気と希望の火を灯し続けた。
シンデレラとマリアンナの永遠の約束は、時を超えて二人の心に生き続けている…
おわりに
本物語以外にもオリジナルファンタジー小説をアップしています。
是非、他の物語も楽しんでいってください！