「オレは精神異常やない。道徳と善悪をわきまえんだけや」
この言葉は、事件を起こした男が射殺される数時間前に語ったもの。この一言を聞いただけで、なんだかゾクっとしませんか?「精神異常ではない、道徳と善悪をわきまえんだけ」という彼の言葉に、毎報新聞デスクの近藤は深く引っかかり、事件は解決しても、何一つ解明されていないと感じたんです。そして、新聞紙面で連載企画を立ち上げ、取材を開始することになります。
物語の舞台は、昭和54年1月、大阪市の阪央銀行北畠支店。行員と客、およそ30人を人質にして立て籠もった花川清史(30)という男。翌日、大阪府警は彼の母親であるカヨを説得させようとしますが、母はなぜかヘリに乗り込むまでの2時間、美容室で髪をセットしていたんですって。そして、花川は駆け付けた母との会話を拒絶。事件は悲しい結末を迎えますが、残されたのは、男の残忍な所業と、彼が語ったあの言葉。
一体、彼を事件に駆り立てたのは何だったのでしょうか?母だったのか、女だったのか、社会だったのか、それとも彼自身の中にあったものなのか……。母は問い返し、女は振り返り、記者は掘り起こす。そうして、真実が一つ、また一つと明らかになっていく過程は、きっと私たち自身の心にも深く問いかけてくるはずです。
桜木紫乃さんが見つめた「真実」
『ホテルローヤル』や『家族じまい』など、親と子、男女の関係を深く描いてきた桜木紫乃さん。今回の作品では、その究極の姿に分け入り、真の姿に迫っています。
桜木さんご自身も、「ラストにさしかかったあたりで、どんな賢者も犯罪者も等しく女から生まれる、という事実に突き当たりました。そこからは、ひとりの人間、ひとりの母として改めて己の来し方を振り返る時間となったように思います。」とコメントされています。この言葉からも、単なる事件の再現ではなく、人間の根源的な部分にまで踏み込んだ、深いメッセージが込められていることが伝わってきますね。
最凶の銀行立て籠もり犯を通して、私たちは何を学ぶことができるのでしょうか。この小説は、読む人それぞれが自分自身の「道徳」や「善悪」、そして「人間」という存在について、深く考えるきっかけを与えてくれることでしょう。
書籍情報
この心揺さぶる長篇小説『異常に非ず』は、以下の情報で発売されます。ぜひ、手に取ってみてくださいね!
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タイトル: 異常に非ず
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著者名: 桜木紫乃
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発売日: 4月22日(水)
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造本: 46判ハードカバー
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定価: 2750円(税込)
この一冊が、きっとあなたの心に新しい光を灯し、これからの毎日を少しだけ違う視点で見つめるきっかけになるかもしれませんね。





